特殊器台

【解説】 この特殊器台形土器は,昭和43年(1968)御調町貝ケ原に位置する御調川沿いの左岸丘陵の土取り工事中に出土したといわれる。

特殊器台形土器は,特殊壷形土器とともに,弥生時代後期の中頃(2世紀頃)以降に,吉備(岡山県・広島県東部)を中心とした墳墓から出土する。集落遺跡から出土する日常使用される器台や壷に比べて,極めて大型化すること,鋸歯文(きょしもん)・斜格子文(しゃこうしもん),連続S字状の文様などの特徴ある文様で飾られること,赤色顔料が表面全体に塗られることなどの点で大きく相違し,墳墓の葬送に関わる土器と考えられている。本例は特殊器台形土器の中では古式の様相を示すものであるとともに,吉備の中枢(岡山県南部)においてもこのような完存に近いものはなく,極めて貴重な資料の一つといえる。


現物は尾道市博物館(久保町)に保存されています。またレプリカは近くの河内公民館にある「歴史資料館」に展示されています。

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